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2024年1月15日

 

 

 

本日更新する日記は先月17日の観察分から。

 

この日の観察を綴るにあたり、今回は更に日付けを遡り時系列に話を進めたいと思います。

 

西表島から戻った翌日の12月11日、旅の疲れを引き摺りながら仕事にあたっていたところ衝撃的な場面に遭遇。

 

 

社用車で移動中、目撃したのは田んぼに群れるヤマドリの姿でした。

 

田んぼにヤマドリが出ているなど思いもよらず、当初は雌のキジだと誤認しましたが真横を通過する際にヤマドリだと気付き急停車。

 

車を後退させスマホで撮影した画像がこちらです。

 

 

ズームしているため荒い画像になってしまいましたが2羽のヤマドリを写すことに成功しました。

 

この他にも2羽のヤマドリが見られ田んぼで採餌をしていたのは計4羽。

 

「山に棲むはずのヤマドリが何故」と思わされましたが、この時は勤務中であったためゆっくり見ている訳にもいかず後ろ髪を引かれながらもその場を後に。

 

この日以降、同じ場所を通る度に田んぼを注視しましたが3日後の12月14日、全く同じ場所で2羽のヤマドリを確認。

 

 

両日の撮影データがこちらです。

 

【 12月11日 】

【 12月14日 】


 

見ての通り撮影時刻はほぼ同じ。

 

こちらの場所は勤務中に何度も通りましたがその他の時間帯に見られることなく、決まった時間に現れるのであれば狙って観察することができるはず。

 

これまでにヤマドリは何度か目にしているものの出会いはいつも偶然。

見つけては咄嗟にカメラを構え撮影するというのがほとんどで、観察らしい観察をしたことはありませんでした。

 

 

“二度あるとは三度ある”ということわざ通りであるならば次の機会こそ証拠写真ではなく綺麗な写真を残したい。

 

こうした思いもあって社用車にカメラを積もうか悩みましたが、モノがモノだけに今一つ気持ちが乗りません。

 

 

そして翌日の12月15日。

同じ時間帯に田んぼの様子を眺めながら走っていると...

 

 

「カメラ持ってくりゃよかったぁぁぁ」

 

 

この時目にしたのは5羽のヤマドリ。

 

驚きと喜び、そして後悔と様々な気持ちが入り乱れるなか群れるヤマドリを見ていましたが勤務中という現実。

 

長居できるような状況にありませんでしたが、何よりも今後のことを考え余計な刺激を与えないことが最良の選択肢でした。

 

 

そして待ちに待った日曜日。

待望の観察日を迎えヤマドリが現れる田んぼへ着いたのは午前8時過ぎ。

 

これまでの目撃を振り返るとヤマドリが田んぼへ現れるのは午前9時半~10時半迄の一時間。

 

念の為にと早めに現地入りし車内から様子を探っていると...

 

 

「出た」

 

 

この時の時刻8時31分。

予想より一時間も早く姿を現しました。

 

1羽現れると更にもう1羽。

 

 

そしてもう1羽と次々に現れます。

 

 

驚いたことにこの日は雌も2羽見られ計5羽のヤマドリが田んぼへ。

 

 

12月15日に見られた個体は全て雄であったことから、この田んぼには最低でも7羽のヤマドリが出現しているようです。

 

非繁殖期のキジは雄だけで群れることが多くヤマドリも同様かと考えていましたが、雌も群れるとなると関係性について説明がつきません。

 

 

先にも述べた通り、ヤマドリを狙って観察できたのはこの日が初めてとあって生態については何も分からず...

 

私にとってヤマドリといえば曲がりくねった山道や林道で見られ、薄暗い環境を好む鳥といった印象のみ。

 

 

狩猟鳥となっているせいか人間に対しての警戒心が強く逃げられることは当たり前。

 

そんなヤマドリが何故開けた田んぼへ出てくるのかと考えながら観察していると、ヒヨドリが発する鳴き声に反応し一目散に逃げ出す様子を目にしました。

 

 

警戒心が無い訳ではないようです。

 

私なりに考察した結果、昨年夏の猛暑が影響しているのではないでしょうか。

 

山では木の実が不作となり里に下りてくるクマが増加し連日のように報道されていましたが、ヤマドリも同じように餌を求め仕方なく田んぼへ現れるようになったのかもしれません。

 

そう考えると不憫にも思いましたが、姿を消したヤマドリの動向を探っていると沢に沿って移動していることが判明。

 

こちらは沢沿いの藪を移動する様子。

画像は拡大しています。

 

 

暫くすると周囲の様子を伺うように現れ小幅な足取りで田んぼへ移動。

 

 

1羽姿を見せると立て続けに他の個体も現れ、5羽のヤマドリが各々に採餌を始めました。

 

ここで気になったのは何を餌としているのか。

 

安直に考えると落ち穂拾いをしているということになりますが、実際のところ定かではありません。

 

頻りに何かを啄んでる様子は双眼鏡越しに分かりましたが、確信に迫ることは出来ず連写した画像を拡大して検証してみると...

 

 

やはり落ち穂を拾っていました。

 

こちらの田んぼでどれほどの落ち穂を拾えるのか分かりませんが彼等の空腹を満たすことはできるのでしょうか。

 

頻りに落ち穂を啄む様子は動画でも撮影。

雌雄のヤマドリが各々採餌する様子を見ることができます。

 

 

この日は暴風雪警報が発令される悪天候。

 

観察当時はまだこれからといった様子でしたが、時折吹雪いたり突風が吹いたりと動画でも風の音を拾ってしまい少々耳障りなものとなってしまいました。

 

風向きによっては長い尾羽が煽られる場面もあり、ご覧の通り尾羽が逆立っています。

 

 

こちら側へ近付いてきたタイミングで雌もしっかり観察しましたが、キジの雌に比べると羽の模様が複雑で美しいと感じました。

 

 

雄については最接近した画像を拡大。

改めて画像を見直したところ一枚一枚の羽が美しくまるで御殿まりのような模様をしています。

 

 

頭部から胴体にかけてのグラデーションも美しく「日本で見られる野鳥のなかで最も綺麗な鳥」という印象を持ちました。

 

この様に美しいヤマドリを綺麗に写したいと欲を出しましたが、全ての個体が接近したことにより撮影は四苦八苦。

 

単焦点の望遠レンズではフレーム内に2羽を収めることが精一杯。

 

 

特に雄に関しては尾羽を切らさないようにと意識することでアンバランスな写真を量産。

 

全ての個体を取り入れる為にはズームレンズ、綺麗に写すためには単焦点。

各々一長一短であり私の欲を満たせるほど現実は甘くありません。

 

 

撮影時はそれなりに良い写真を撮ることができたと思っていても、いざ見返してみるとどれも残念なものばかり。

 

ヤマドリを撮影するにあたって構図の作り方は経験が物を言うのでしょう。

 

 

そういった意味で今後経験を積まなければなりませんが、口で言うほど簡単なものではなく良い場面に巡り会うための前提条件として生態を知らなければ本当の意味で良い写真は撮れないものだと思います。

 

 

撮影についての話題は程々に接近した場面では再び採餌の様子を動画で記録しました。

 

こちらの動画では足を使い稲藁を掘り起こす行動を見ることができます。

 

 

採餌の様子を観察していると1羽、そしてまた1羽とヤマドリは田んぼを離れつつありました。

 

最後に残った1羽が採餌を続けていると何かを警戒した様子。

その場に踞り周囲を見渡しているようでした。

 

 

警戒が解けると立ち上がり田んぼを駆けて沢の方へ。

 

 

沢沿いの藪へ姿を消したのがこの日最後に見た姿。

 

 

時刻を確認すると9時28分。

出現時刻は予想よりも一時間早まったものの餌場となる田んぼへ滞在した時間は読み通りという結果に終わりました。

 

僅か一時間の観察でしたが、私にとっては貴重な経験だったと言えます。

 

 

秋田県の県鳥に指定されるヤマドリ。

地元のシンボルでありながらも未知の鳥ですが、今回の経験をきっかけにより深く知識を身に付けたいと思います。

 

 

本日の観察日記はここまで。