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2024年4月25日

 

 

 

本日更新の日記は観察旅行記。

 

渡りの季節真っ只中、バードウォッチャーにとって一年のなかでも最も楽しいシーズンの到来です。

 

大型連休は何処で観察しようか頭を悩ませた方も多いのではないでしょうか。

 

かくいう私もそのうちの一人。

旅に出るも良し、地元で過ごすも良し。

各々の観察スタイルに合わせ様々な予定を立てたことと思いますが、私は少々欲張った計画を立てました。

 

と言うのもここ数年、大型連休は旅先で過ごすことが多く地元での観察が疎かに...

 

 

そこで今年の大型連休は前半と後半に分け、旅先と地元の観察を両立。

 

今回、足を運ぶのは鹿児島県の甑島。

 

甑島(こしきじま)とは鹿児島県薩摩半島から西方26kmの東シナに位置しており、上甑島・中甑島・下甑島と縦に三島を連ねる離島です。

 

私が足を運ぶのは初めての島とあって全てが手探りの探鳥になりますが果たしてどうなることやら...

 

初日は完全なる移動日であったため13時15分発の便で秋田空港を出発。

 

 

伊丹空港を経由して鹿児島空港へ到着したのは16時50分。

 

昨年はANA上級会員の最高峰であるダイヤモンドステータスを目指し狂ったようにフライトを重ねた結果、遂にFIRSTのタグが付けられるようになりました。

 

 

手荷物の受け取りが最も早くなるため旅の出だしが一段と早くなり、タイムロスが少なくなったことは大きな恩恵と言えます。

 

ターミナルを出ると茶碗を手にした西郷さんがお出迎え。

 

 

以前は無かったこちらのオブジェ。

 

『西郷丼』とでも言いたいのかとくだらないことを考えていましたが、調べてみたところチェンソーアーティストが制作したもので期間限定の展示なのだとか。

とてもチェンソーで作ったとは思えないクオリティにびっくり。

 

 

レンタカーを調達した後は宿泊先の薩摩川内市へ約1時間ほどかけて移動。

 

鹿児島へやって来たということもあり、この日の夜は黒豚の豚カツ定食をチョイス。

 

 

翌日からの探鳥に備え、腹いっぱいご飯を頬張りました。

 

 

2024年4月26日

 

 

日程2日目は朝から小雨の降る生憎のお天気。

甑島へ渡島するため川内港高速船ターミナルへ移動しました。

 

 

※甑島への移動手段は高速船とフェリーの二通りありますが、フェリーで移動する場合は串木野新港発着となるため要注意。

 

甑島は初めて足を運ぶ場所とあって旅行記では恒例のマップを掲載。

 

 

高速船で移動する場合、上甑島の里港まで所要時間は50分、下甑島の長浜港まで1時間35分。

 

 

8時50分、川内港高速船ターミナルを離れ甑島を目指しました。

 

 

 

2024年 野鳥観察の旅 in 甑島 (4月) ①

 

 

上甑島の里港を経由して下甑島の長浜港へ到着したのは10時25分。

 

海から眺める甑島は切り立った断崖に岩肌が特徴的で島全体が山地という印象。

とてもではありませんが鳥を観察するのに適当な場所とは思えません。

 

 

先行きに不安覚えながらもターミナル向かいのレンタカー屋へ行くと店員さんより思いもよらない情報が...

 

機材を取り出し出発の準備を整えていると『あれ?鳥の人ですか?』と質問されたため渡島した経緯を丁寧に回答。

 

『うちで宿もやっているんですけど、ほとんど鳥のお客さんですよ』と仰る店員さん。

立て続けに『キガシラセキレイとオウチュウがここに出ています』とGoogleマップを開き詳細な情報を提供してくださいました。

 

『ちなみについ最近までここにセグロサバクヒタキが...』と右も左も分からない私にとっては貴重な情報です。

 

 

早速頂いた情報を基に探鳥地へ赴いたところ驚愕の出会いが。

 

私の目に飛び込んできたのはキガシラセキレイでもなければオウチュウでもないシマアオジ。

 

 

こんなにもあっさりと見られ、道北の苦労は一体何だったのか...

 

驚きを隠せずにいる私を余所目に囀りを披露してくれるシマアオジ。

まさか囀りを聞けるとは思いもしませんでした。

 

10分ほど囀り聞いていたところ不意に飛び立ち場所を移動。

ここでまた驚愕の場面が。

 

シマアオジが移動した先にズグロチャキンチョウが現れました。

 

 

しかしこのズグロチャキンチョウは誤同定。

画像を拡大して検証したところ、こちらもシマアオジであることが判明。

 

ズグロチャキンチョウもどきのシマアオジは場所を移動して囀りを披露。

 

 

2羽のシマアオジは各々の場所で囀ると遠く離れた草地のなかへ。

 

渡島前の不安を払拭する出会いに興奮冷めやらぬ状態でしたが、気持ちを落ち着かせて周囲を見渡してみるとキマユホオジロがあちこちに。

 

 

どれくらいの数が居るのか一言で表すと「島中、キマユホオジロだらけ」と言っても過言ではありません。

 

これは決して大袈裟なものではなく環境を問わず何処へ行ってもキマユホオジロが見られました。

 


 

次いで多かったのはコホオアカ。

 

キマユホオジロほどではなかったものの群れを見られるのは当たり前。

そのため写真を撮るにも苦労がありません。

 

 

いわゆる普通種というのは全くと言っていいほど見当たらずホオジロ類は全て珍鳥です。

 

アオジと思いきやこちらはシベリアアオジ。

 

 

渡島前に知人から聞かされた『エンベリは甑島』という意味が理解できました。

(エンベリとはホオジロ属の学名・Emberizaの略)

 

 

下甑島の主要探鳥地は非常にコンパクトで草地・田畑・牧場が密集しています。

島全体に言えることですが、道幅が極端に狭く車ではすれ違うことのできない道路も多くありました。

 

そのため主要探鳥地を車で移動する際は地元の方を最優先。

また舗装されていない農道へ車での進入は禁止となっているようです。

 

 

少し歩いて牧場を覗くと亜種ツメナガセキレイが見られました。

 

 

ホオジロ科の鳥と同様にこちらでも普通種というのは全くおらずセキレイ科の鳥も全て珍鳥。

 

こちらは亜種マミジロツメナガセキレイ。

 

 

いずれも夏羽になっており色鮮やかですが、同定に難があったのは亜種シベリアツメナガセキレイ。

 

 

眼の後方にうっすらと白い眉斑が認められたため亜種シベリアツメナガセキレイとしましたが、もしかすると亜種キタツメナガセキレイに該当するかもしれません。

 

こちらは自信を持って言える亜種キタツメナガセキレイ。

 

 

ハクセキレイについても亜種ハクセキレイは確認できず、見る個体全てが亜種タイワンハクセキレイでした。

 

 

そしてこちらはムネアカタヒバリ。

 

 

ムネアカタヒバリについては換羽状況は様々で未だ冬羽を残す個体も見られたなか、面白かったのはマミジロタヒバリ。

 

電線に止まる姿がこれほど似合わない鳥がいたでしょうか。

 

 

羽が濡れていたこともあり、目にした当初は何の鳥か分からないほどでした。

 

沢山のセキレイ類が見られたなか、残念だったのは情報にあったキガシラセキレイ。

タッチの差で抜けてしまったのか幾ら探しても見つけることはできませんでした。

 

 

水田にはサギ類が多く、特に目を引いたのは夏羽のアカガシラサギ。

 

 

アカガシラサギは3個体見られ常時視界に入る存在に。

 

ツバメとコシアカツバメが飛び交うなかツバメチドリも飛び交っており、隙間時間に休憩中の個体を撮影。

 

 

ツバメチドリを撮影してふと見上げるとまたしてもシマアオジの姿が。

 

 

こちらのシマアオジ、渡島して一番最初に見た個体かと思いきや別個体であることが判明。

これによってシマアオジは3個体入っていることが分かりました。

 

 

珍鳥が次々と見られるなか、なかなか見つけられずいたのが情報にあったオウチュウ。

 

常に意識していましたが姿を見ることのないまま時刻は夕方に。

 

雨が降っていたことも影響して薄暗さが増してきたため初日の探鳥を終えようとした頃『オウチュウが出ているよ』と軽トラに乗った地元のバードウォッチャーらしき方に声を掛けられました。

 

『あそこに人が居るから、そこに行くと見える』と告げられ、言われるがままに場所を移動。

 

先に観察していた若いお兄さんが『枯れ木の先に止まってます』と仰り指差す方向を見てみると確かにオウチュウが止まっていましたが...

 

肉眼では辛うじて黒い線が見える程度。

 

 

距離にして300mほど離れていたでしょうか。

距離はどうであれ教えてくださった地元の方と若いお兄さんには感謝しかありません。

 

私一人の力ではオウチュウを見つけることはできなかったでしょう。

 

撮影した画像を目一杯拡大してみるとオウチュウの特徴を捉えた写真を残すことができていました。

 

 

こうして終えたてんこ盛りの初日。

想像以上の結果に気分を良くしたことは言うまでもありません。

 

 

二日目も驚くような出会いに恵まれましたが、そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。