前回の続き。
この時期に羅臼沖で見られるシャチを始めとして様々な生き物を観察するはずだった道東の旅。
しかし旅行の予約を済ませて間もなく観光船の沈没事故が発生しました。
私も観光船に乗る計画を立てていましたが未だ行方不明者がいる海で観察を楽しめるとは思えません。
この様な理由から計画を大幅に変更して道東へ着いて始めに訪れたのは知床峠。
時期的な問題からか峠道は通行規制があり滞在時間は短かったものの運良くギンザンマシコを見ることができました。
この他にシマリスも見ることができ夜は鷲の宿でシマフクロウを観察。
2022年5月27日
日程2日目。
この日は再びギンザンマシコを観察するためのんびりと起床。
本来であれば早朝の時間帯に観察したいところでしたが規制の解除は午前8時。
その前に宿泊先周辺で何か観察できたらと思いましたが一歩外へ出てみると濃霧に包まれ何も見えませんでした。
この時期の羅臼町は霧に包まれることが多いと聞いていましたが前日に観察を行ったハイマツ帯は一体どの様な状況なのか...
規制が解除されゲートが開くと同時に峠道を進みましたがやはり濃霧の影響で何も見えず。
やっとの思いで観察場所へ辿り着くと霧に加えて山裾から吹き上げてくる暴風で観察どころの話ではありません。
スマホで撮影すると肉眼で見るよりも視界が良いように写りますが、この酷い状況を動画で撮影してみることに。
※風の音を拾っているため音量に注意して下さい。
見ての通りギンザンマシコの観察は断念せざるを得ない状況であったことから予定を変更して野付半島へ。
羅臼町を南下すると雲の隙間から青空が見えるようになり良い条件で観察を楽しめるものと期待しましたが...
野付半島へ着いてみるとこちらも強風。
オジロワシやタンチョウなど体長の大きな鳥は見られたものの小鳥の観察は難しい状態でした。
結局この日はまともに観察をすることができず右往左往しただけの一日。
溜まりに溜まった鬱憤を晴らすため予定にはありませんでしたがこの日の夜もシマフクロウを観察することに。
戦の前に腹拵え。
早めの夕食に選んだのはホッケ焼き定食。
表面はカリッとしていて中身はふっくら。
脂のりが良く旨味が溢れ、北海道で食べるホッケは何故こんなにも美味しいのか。
夕食を済ませた頃には雨雲が流れ始め翌日は大雨の予報が出ていました。
天候が崩れてきたこともあり前日に比べると早い時間からシマフクロウが現れると予想しましたが、間もなく19時になろうかといった頃に水面を蹴るような音が...
嫌な予感が的中。
外を覗き込むとエゾシカが餌場へ近寄っていました。
ふと見ると餌場から離れた木にはシマフクロウが止まっています。
エゾシカを警戒して餌場へ降りられないのでしょう。
シマフクロウが餌場の近くに現れて30分が経った頃、我慢しきれなかったといった様子で餌場へ飛来しました。
狙いを定めて生け簀へ飛び込むと捕獲した魚は2匹。
1匹は自ら食べるともう1匹は口に咥えたまま森の奥へ姿を消しました。
エゾシカが現れたことにより行動パターンが変わってしまい、シマフクロウが次に姿を見せる時間の想像がつきません。
この日は中標津町に宿を取っていたことからから移動時間も考慮して鷲の宿での観察はここまでとしました。
2022年5月28日
日程3日目。
この日は窓を打ち付ける雨の音で起床。
予報通り雨脚が強くいつも通りの観察はできそうにもありません。
しかし旅先とあって宿に閉じ籠っているのも勿体無いことは確か。
この様な天候でも観察できる生き物は何かと考えたところ思い付いたのはタンチョウとエゾシカの観察。
鶴居村まで車を走らせるだけでそこそこ観察できるだろうと考え、気持ちを良い方向に切り替え宿を出発しました。
参考までに中標津空港から鶴居村まではおよそ1時間20分の距離。
宿を離れて10分も経たない頃、早速タンチョウを発見。
画像に写るのは1羽ですがこちらでは2羽見ることができました。
その後も次々とタンチョウを発見しましたが、撮影はあくまでも道すがらに見られる個体と決めていたので大多数は肉眼か双眼鏡での観察です。
次に掲載するのはこちらの4羽。
成鳥2羽と若鳥が2羽であったことから家族群でしょうか。
かなり近くで見られたことから広角レンズでの撮影でしたが望遠レンズで撮影するとこの様な画像に。
昔話にも出てくるタンチョウですが、一般的にツルと言えば誰しもタンチョウを思い浮かべるのではないでしょうか。
また赤い頭頂部をイメージする方も多いと思います。
私が野鳥観察を始めた当時、秋田に住み着いていたタンチョウを見て頭頂部は羽ではなく皮膚が露出していると知って随分と驚いた記憶があります。
タンチョウを見る度に思い出す懐かしい記憶。
次に見られたベアは民家の敷地を歩いていました。
庭にタンチョウが来るというこの光景は北海道ならではでしょうか。
地元の方には当たり前の光景かと思いますが旅行者の私にとっては新鮮に感じます。
この他にも沢山のタンチョウを観察することができた為、全ての画像を掲載すると膨大な量になってしまうことから割愛。
雨は強弱を繰り返していましたが鶴居村へ着いた頃は一時小康状態に。
トイレ休憩の為に立ち寄った施設を後にしようとしたところオオジシギの鳴き声が。
上空を見上げるとディスプレイフライトをしていました。
住宅地の一角に空き地があり、2羽共空き地へ降りたことから住宅地のど真ん中で繁殖するのかもしれません。
秋田では繁殖する個体が少なくなってしまいましたが北海道ではどうなのでしょう。
鶴居村へ着いてからの行動はノープランでしたが、思い付きで釧路湿原へ足を伸ばしてみることに。
その道中、目にしたのは低地を飛び回るアマツバメの大群。
私の住む秋田市では天候が崩れるとハリオアマツバメの群れが住宅街を乱舞しますがアマツバメの群れは見たことがありません。
天候の影響だったのか地域性によるものなのか旅行者の私には見当がつかず。
釧路湿原を走ると雨にも負けず囀る小鳥たちが沢山。
こちらはシマセンニュウ。
シマセンニュウは野付半島での観察を想定していましたが、野付半島はまだ花も咲いておらず一足早かったという印象でした。
囀るノビタキもあちこちで見られましたが電線で囀っている個体が圧倒的に多かったように思います。
ずぶ濡れになったキタキツネは種不明のヘビを咥えていました。
垣間見た弱肉強食の世界。
雨さえ降っていなければ木道を歩いて散策したかったのですが天気には勝てません。
まだ日没まで時間に余裕があったことから湿原巡りをする形で更に足を伸ばし海沿いまで南下しました。
沿岸は風が強く吹いており海は時化た状態。
海鳥が見られたらと思い崖の上に立つと波飛沫と雨のダブルパンチ。
とても観察できるような状態ではなかったことから引き返そうと思ったその矢先、水面に何かが浮かんでいるように見えました。
始めは海藻か何かゴミのようにも見えましたがどうも気になり双眼鏡で確認してみると..
想定外のラッコに驚き。
慌ててカメラを取りに戻りました。
今年の冬に落石ネイチャークルーズの船に乗って初めて野生のラッコを目にしていましたが、その際に見ることができたのは僅かな時間。
しかし今回は時間の縛りがありません。
この場所は入り江のようになっており高波を避けてこちらへやって来たのでしょうか。
ラッコは時々潜って狩りをしているようでした。
嬉しさが先立って雨の中でも撮影を続けましたが今一つピントが合いません。
不思議に思いふとレンズを見ると崖下から巻き上げてきた波飛沫でレンズがずぶ濡れ。
流石にこれは不味いと渋々ラッコの観察は諦めることに。
それにしてもラッコを見ることが出来たのは幸運でした。
ふらりと訪れた場所で観察できただけでも充分嬉しく思いますが、採餌の場面を見ることが出来たのは大きな収穫です。
まさかの出会いに嬉々としながら車を走らせるとエゾシカの群れに遭遇。
何を思ったのか群れは一斉にこちら側へ。
しかしカメラを向けると慌てたように走り去り、道路を横断するとだいぶ距離が離れてしまいました。
当初の予定ではこのエゾシカとタンチョウの観察を目的として宿を出発しましたが、様々な出会いに恵まれただけではなく北海道らしい風景を存分に楽しめたことは本当に良かったと思います。
結果的に遊び倒した一日となりましたが、この日の夜は宿泊先から最寄りの回転寿司屋へ。
根室市にも店舗があるこのお店、道東の旅行では欠かさず足を運ぶようになりました。
回転寿司とは思えない美味しさで常に賑わいを見せています。
美味しいお寿司をお腹いっぱい食べて道東最後の夜を締め括りました。
翌日はいよいよ最終日。
帰りの便に間に合うよう中標津町の公園巡りをして小鳥の観察を計画しましたが、そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。