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2021年5月30日

 

 

 

 

渡り鳥の移動も落ち着きを見せ、これからは夏鳥の観察が本格化します。

 

今季は趣向を変え様々な環境に目を向けて渡り鳥を探してみたものの、経験値が足りないこともあり思ったような成果を挙げられずに終わってしまいました。

これは過去の観察が大きく偏っていたことが原因と考えています。

 

特に残念だったのが本命としていたシマゴマは鳴き声のみの確認で、半径10m圏内に居たことは確実だったのですが姿を見ることなく終わってしまいました。

 

今季は渡来数が多かった為か全国的に確認が相次いでいたこともあり、このチャンスを活かすことができなかったことは本当に残念でなりません。

 

 

 

話を本題へ移し18日(火)の出来事。

鳥友さんから連絡を頂き『植栽の中で何かがゴソゴソと動いている』とのことでしたが、鳥友さんの話す特徴から直感的にシマゴマではないかと思いました。

 

送られてきた画像を確認してみたところ紛れもなくシマゴマ。

「また来季に賭けるか」と思っていた矢先の出来事で、このチャンスの逃すまいと翌日は午前4時半に現地入り。

 

平日ということもあり幾ら粘ったとしてもタイムリミットは午前7時。

2時間半の1本勝負です。

 

 

情報のあった植栽が並ぶエリアを探してみたところパッと見た目に鳥が居るようには見えません。

 

しかし丁寧にチェックしてみたことろ、枝が混み入った場所でゴソゴソと動き回る鳥を発見。

 

 

う~ん、惜しい・・・

 

こちらはノゴマの雌でした。

平時であればじっくり観察するところですがシマゴマと比べると存在は霞んでしまいます。

 

本命がなかなか見つからず焦りを感じながら探していたところ、植栽から植栽へと素早く移動する小鳥を目にしました。

 

ほんの一瞬でしたがノゴマよりはサイズが小さかったように見え、俄に期待が高まりましたが青っぽく見えたような・・・

 

 

早朝であったことに加えて霧雨が降っていた影響で、辺りは薄暗く小鳥の正体は何者であるのかはっきり分かりません。

 

シマゴマなのか、それとも・・・

 

 

不意に正体不明の小鳥が植栽から飛び出し開けた場所に移動したので慌てて確認してみたところ謎の小鳥はコルリと判明。

 

 

「道理で青く見えた訳だ」

 

棚から牡丹餅のように現れたコルリは早足で移動を始め、どんどん遠退いていきます。

 

コルリに追い付け追い越せの勢いで距離を詰めてみたところ、翼上面が茶色みを帯びており雄の若い個体だということが分かりました。

 

 

本来笹藪などに生息する鳥とあって開けた環境が落ち着かないのか警戒心はとても強く感じ、一度縮まった距離もあっという間に離れてしまいます。

 

観察と言うには程遠く証拠写真を残すことで精一杯。

 

 

こちらの画像を撮影して間もなく遠くへ飛び去ってしまいました。

 

 

思わぬ出会いに気分が高揚したものの未だ本命のシマゴマは確認できないまま。

刻々と時間は過ぎ、焦りが先行するなか再びシマゴマを探してみましたが幾ら探しても見当たりません。

 

 

ここでシマゴマの捜索は断念。

残念ではありますが見られない鳥に時間を費やすよりも見られるノゴマを観察することに。

 

 

植栽のなかを動き回っていたノゴマも時間の経過と共に開けた場所へ出てくるようになり、採餌の様子をじっくりと観察することができました。

 

思い返してみると過去の観察例はいずれも雄のみ。

地元だけではなく繁殖地の北海道でも雌を観察した経験がありません。

 

 

更に今まで採餌をしている場面を見たことがなかったため今回の観察では大きな収穫がありました。

 

静止画からは伝わりませんが、こちらの個体はコチドリの採餌と同様に地面をタップする様子が見られ獲物を地面から追い出していたようです。

 

 

獲物が地表に出てくると飛びつくようにして捕食。

 

 

ノゴマが振動で獲物を誘き出すという生態については聞いたことがなく、この事実を自分の目で見て知ることについて大変嬉しく思いました。

 

採餌を済ませたノゴマは素早く植栽の中へ移動。

 

 

開けた場所へ出てくるタイミングは一定ではなく、植栽の中からなかなか出て来ないこともあれば大胆に長時間出ていることも。

 

周囲には人が大勢いた訳でもなければ猛禽が飛んで来ることもなかったので、出てくるタイミングに関しては気まぐれといった様子でした。

 

 

距離感についても曖昧で、警戒心の強いような素振りを見せることもあれば至近距離で見れることもあり、イマイチ性格の掴みにくいといった印象。

 

それでもノゴマらしい行動を見ることができた他、思いもよらぬ場面も観察することができたので短い時間ながらも収穫の多い観察となりました。

 

 

2時間半の1本勝負はあっという間に終了。

 

ノゴマが本県を通過するのは4月下旬~5月上旬という認識でいたので今回の観察は私にとって意外なものでした。

 

こちらの個体だけが遅れて渡ってきたのかと思いきや、同じタイミングで他の場所でも確認されていたことから今季はノゴマの渡りが少し遅かったようです。

 

 

今年は春の訪れが早く鳥の移動も早いと思っていましたが種によって渡りのタイミングが異なり、渡り鳥の観察地として有名な飛島でも同じような観察が続いていたようでした。

 

今季に限ってのイレギュラー的な渡りとなったのかは分かりませんが、この観察も経験の一つとして小型ツグミ類を探すうえで来季以降の参考にしたいと思います。

 

 

本日の観察日記はここまで。