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2019年 野鳥観察の旅 in 富山県 ②

 

 

2019年7月14日

 

 

 

 

前回の続き。

急遽予定を変更し富山県側から室堂入りした初日。
目的としていたライチョウの親子を無事に観察することができ一夜が明けました。

未明には屋根を打ち付ける音が煩く感じる程の大雨で目が覚め、雨が止むことを祈り再び眠りについたものの5時に起床した時点で雨は止んでおらず・・・

更に宿から見る外の様子は霧で真っ白。

 

 

天気予報を確認すると7時以降は雨が止むようだったのでゆっくりと朝食を済ませ天候の回復を待つことにしました。


しかし7時を過ぎても雨は止まず霧も晴れそうにありません。

更に待つこと一時間。
8時を過ぎたところで友人と相談。

『普通なら行かない』と話す友人でしたが私にはライチョウの親子を観察するという目的の他にもう一つ大きな目的がありました。

 


それは夏羽に換羽した成鳥♂の観察。

今時期は雛を連れた成鳥♀は比較的容易に見られるようですが、成鳥の♂は何処に居るのか登山をしていても全く見られないこともあるそうです。

素人には敷居の高い目的だったのかもしれませんが、行かずに後悔するよりなら行って後悔を選びました。


登山家の友人のアドバイス通り荷物は最小限に抑え、カメラが濡れないようビニール袋で包んでリュックの中へ。

余分な荷物は宿に預けカッパを羽織り8:30分に宿を出発。

登山を開始して間もなく雨は小康状態となり、場所によって霧の晴れ間も見られるようになりました。

 

 

暑がりの私は早々にカッパを脱いでリュックの中へ。

所々雪渓があり雨の影響で歩き難くなっていることも想定しましたが思ったほどではなく順調なペースで歩を進めます。

しかし標高が高いせいか自分が思った以上に息が切れる。
普段トレーニングを欠かさず生活していますが、登山で使う筋肉はちょっと違うようです。

滴る汗を拭いながら標高2700mの一の越山荘に到着。

 

 

ほとんどの登山者はここから標高3003mの雄山を目指しますが、私は反対側の浄土山山頂を目指しました。

天候も悪かった為かこちらのコースは人が少なく、両手を使ってよじ登る難所を越えたところでハイマツの下に何やら黒い物体が・・

 


「♂のライチョウだ!」

 

 

即座にリュックからカメラを取り出し撮影しました。

念願叶った瞬間でしたが、反対側には登山者の姿が。
警戒して居なくなってしまうかと思いましたが然程気にする様子はありません。

そのため私も少し距離を縮め観察してみることにしました。

 

 

『ライチョウですか?』と近寄ってくる登山者もスマホ取り出しちょっとした撮影会。

暫くするとライチョウは辺りを見渡しながらハイマツの下から出てきてくれました。

 

 

人間を気にせず目の前を歩く姿格好はまるでニワトリ。

しかし飼われている訳でもなければ餌付けされている訳でもなく、自分が今いる環境を考えると神々しさを感じます。

 

 

この後ライチョウはハイマツを潜り抜けるように移動し視界から消えていきました。
時間にして約10分程度の観察でしたが相当興奮していたのか自分がどのように撮影していたのかも覚えていません。

 


カメラをリュックに収納し登山を再開。
標高2831mの山頂が目前に迫ってきたところで♀のライチョウを発見することができました。

霧も相俟って見事に風景に溶け込んでいます。

 

 

高山植物にダメージを与えないよう慎重に岩場を移動し間近で観察

室堂で見た♀のように雛を連れているのではと思いましたがパッと見た目に雛の姿は見当たりません。

 

 

何はともあれ独り占めの状態を満喫。
ここはじっくり観察しようと思った矢先『遠藤君!反対側に♂がいる!』と友人の声が。

回り込むようにして移動してみると・・・

 


これまた見事に風景と一体化。

 

 

嬉しさと同時に沸き上がる疑問。

何故この時期にペアで行動しているのか。
勉強不足だけなのかもしれませんが、♂が♀の傍から離れないように行動するのは縄張りを形成する5月頃までだったと記憶しています。

育雛の時期は♂と♀は別々に行動するものだと思っていただけに驚きを隠せませんでした。

 

 

少々不可解に思いながらも至福且つ贅沢な時間が続きます。

室堂周辺での観察は体力に自信の無い方でも気軽にライチョウを見ることができますが、連休や週末ともなると大勢のカメラマンが立ち並ぶことでしょう。

首都圏では当たり前の光景かもしれませんが、私のような田舎者にとっては苦痛でしかありません。

それなりに体力は必要ですが、少し山を登ることで他のバードウォッチャーに気を遣うこともなくのんびりと観察をすることができました。

 

 

岩場を器用に移動するライチョウは♀の動きに合わせ♂が後を追っているようです。

まるで他の♂に♀が奪われないよう見張っているようでした。

 

 

ここで少し“撮影”という部分のお話。

今回私が使用した機材はフルサイズのボディに100-400mのズームレンズで撮影を行いました。
三脚は使用せず手持ちの撮影です。

 

 

天気が良ければ広角レンズで山並みを背景に撮影をしたかったのですが、生憎のお天気ということもあり機材は必要最小限に留めました。

室堂周辺での撮影は望遠の単焦点も有りですが、登山をしての撮影は機動性を考えるとズームレンズがお奨め。

写真のクオリティで云えば単焦点に軍配が上がりますが、移動を考慮すると出来るだけ身軽にしたいものです。


今回撮影するにあたって目一杯ズームする機会はほとんど無く、400mmで撮影するとこの様な写真に。

 

 

狭い岩場で望遠の単焦点を使うとこんな写真が多くなってしまうかもしれません。

構図を作るには自分で位置を調整するかレンズを交換するか、若しくはカメラを2台用意するか。

ズームレンズだとドアップから図鑑写真の撮影も楽に行うことができます。

 

 

構図を作るにもズームレンズが楽とは言え、これはセンスの問題になるので私には語ることができません。

どうせ撮るならかっこいい写真を撮れたら良いのですが私はセンスが無いので無理。

意識してはいるものの難しい問題です。

 

 

ライチョウとの距離は運次第なところもありますが、場合によってはスマホやコンデジの方が良い場面もあるかもしれません。

スマホで動画撮影を行った採餌するライチョウです。

 

 

岩場から移動したライチョウはハイマツの上を歩き、植物をせっせと食べていました。

調べてみたところライチョウの餌は主に植物のようで季節によって餌となる植物が変わるようです。

採餌の様子を見た感想としては「手当たり次第食べている」といった印象。
人目も気にせず音を立てながら食べる姿を見て、ライチョウにとって高山植物がいかに大切なものか考えさせられました。

 

 

♂ばかり観察していたので♀の観察も。

行動については雌雄で差はほとんど感じられませんでしたが、♀の方が少しおっとりとした動きをしていた様に思えました。

 

 

♂は♀を追って動く為せかせかしたような動きに見えたのかもしれません。

少し場所を移動し餌を採っては休憩を繰り返していました。

 

 

♀の周りを動き回る♂姿が面白く、撮影枚数が酷いことに・・・


採餌の他に“行動”という面で見ることができたのは伸びをする姿

 

 

羽繕いからの一連の行動ではなく不意に色んな行動を見せてくれました。

ブルブルッ。

 

 

身震いすると羽毛が非常に密であることが分かりフクロウのようです。

ライチョウは寒冷地で暮らすことに特化していることから、足の先まで羽毛に覆われており冬場には雪を掘って頭だけを出して休むのだとか。

何から何まで興味深く、こうして日記を綴っている今も再び観察したい欲に駆られています。

 

 

観察も一段落した頃、辺りは濃い霧に包まれこれ以上の観察は困難であると判断し下山することに決めました。

そんな折りに現れたイワヒバリを撮影してみましたがご覧の通り。

 

 

少し歩くと雨が降り出し慌ててカッパを着込みました。

ライチョウを観察している時だけ雨も降らず霧も晴れ、何から何まで運が味方をしてくれたように思います。

これといったトラブルも無く無事に下山。

 

 

宿に預けておいた荷物を受け取り、約10分ほど歩いて室堂ターミナルへ。

ターミナルに併設されているホテルのレストランで昼食タイム。
ここでは友人の奨めもあり『 富山湾の宝石 』と称される白海老の天ぷらが付いたうどんを頂きました。

 

 

このうどん、お値段1750円也。

うどんでこの価格には正直なところ驚きを隠せませんでした。
海老といっても他の海老とそんなに大差がないだろうと思っていましたが悶絶ものの美味しさに仰天。

白海老、侮ることなかれ・・・

うどんを食べた後はターミナルに隣接する立山自然保護センターへ

 

 

こちらの施設の3階でライチョウの目撃情報を報告すると記念のシールが貰えます。

シールと一緒に写るのは今回の自分お土産。
ライチョウがライチョウを観察している絵柄の手拭い。

 

 

ライチョウを初めて観察される方は保護センターのホームページを確認するか、観察前に施設へ立ち寄ると目撃情報を得ることができるので観察の参考になるかもしれません。

 

 

振り返ってみると悪天候が予想されるなかで想像以上の観察ができ、非日常の時間を楽しみ、美味しいものまで頂くことができた本当に良い旅でした。
山をこよなく愛する友人ご夫婦と天照大御神には本当に感謝しかありません。

この日は富山市内に宿泊し、翌日は富山県護国神社を参拝。

 

 

観察を無事に終えたお礼と帰路の無事を祈願し富山県を後にしました。

年々個体数の減少が報告されるライチョウ。
少しでも明るいニュースが届くことを遠くから願い、次の機会には完全冬羽の純白のライチョウと出会えることを楽しみにしています。

 


2019年 野鳥観察の旅 in 富山県はこれにておしまいです。