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2023年10月13日

 

 

 

本日更新する日記は旅先での思い出を綴る観察旅行記。

但し今回の旅はいつもの観察旅行と異なり野鳥が目的ではありません。

 

 

お目当ては北海道に生息するナキウサギ。

 

北海道へは度々足を運んでいますが、これまでにナキウサギを観察した経験はなくWeb上の写真でしか見ることはありませんでした。

 

そこで今回は週末の僅かな時間を利用してナキウサギの観察を計画。

無謀とも思えるショートスケジュールのため、13日(金)は仕事を終えると慌ただしく身支度を整え秋田空港へ。

 

 

遅延して出発した搭乗便は驚いたことに鬼滅の刃じぇっと弐号機。

参号機に搭乗した記憶は新しく連続での搭乗となりましたが、この様な時に運を使ってよいものなのか...

 

機体の記念撮影を考えていると羽田空港では田舎者に課せられる仕打ちが功を奏し地上から撮影することができました。

 

 

秋田のような田舎の空港を利用するとターミナルへ駐機できずバスでの移動が当たり前。

 

ボーディングブリッジを渡らなかったからこそ撮ることができた写真はガラス越しにならず嬉しい限り。

 

 

ターミナルへ着くと夜食&朝食などの買い物を済ませて隣接するホテルへ移動するのがお決まりのパターン。

 

この日は管制塔が見えるお部屋でした。

 

 

煌びやかな夜景を見て独り喜ぶ田舎者。

 

 

2023年10月14日

 

 

この日は人生初のAIRDOに乗って帯広空港へ。

 

AIRDOはさておき『北海道が目的地なのに何故羽田へ?』と思う方もいらっしゃることでしょう。

 

秋田から北海道へ移動する場合、通常は千歳空港を利用しますが、千歳空港と帯広空港を結ぶ便は就航しておらず空路での移動は羽田を経由したV字での移動が最速の経路でした。

 

 

6時55分、羽田空港を出発。

 

 

所要時間、1時間30分のフライトはあっという間。

 

8時25分、帯広空港へ到着。

こじんまりとしたターミナルは田舎者の私にとって親近感を覚えます。

 

 

預けた手荷物を受け取った後はレンタカーを調達し足早に目的地の山を目指しましたが、果たしてナキウサギに出会えるのかと不安は募る一方でした。

 

 

2023年 生き物観察の旅 in 道東 (10月)

 

 

ナビを確認すると帯広空港から目的地までの所要時間は1時間15分。

 

道すがらセイコーマートでもあれば立ち寄ろうと考えていましたが自販機すら目にしないまま目的地へ。

 

 

ナビを使用すると最短ルートで案内されるため農道が多い北海道ではよくある話。

 

コンビニに寄ることのできなかった私は食料も無ければ水すら持っておらず...

更にこの日の気温は20℃と10月の北海道としては季節外れの暖かさ。

 

旅立ち前、以前この地を訪れた地元の友人からは『防寒対策は万全に』とダウンジャケットを着て山を登った写真が送られてきていました。

 

山の麓は暖かくとも標高の高い場所はきっと寒いことでしょう。

念の為にとジャンパーを片手に登山を始めましたが思わぬ展開に。

 

 

登山道入り口付近は笹が生い茂る獣道のようでしたが特に障害物も無く淡々と歩を進めることができました。

 

歩き易いと思ったのも束の間。

5分も登ると鬱蒼とした環境に変わり、登山道を横断する樹木の根に気を配って歩かなければなりません。

 

 

少しずつ勾配がキツくなり息を切らしながら登っていると登山道脇の小さなガレ場に緑色の鳥を発見。

 

目にした瞬間アオバトかと思いましたが、飛び立った姿を見て誤認だと判りアオゲラと判断。

 

「ん...?北海道にアオゲラ?」

 

「アオゲラじゃない、ヤマゲラだ」

 

飛び立つ姿を見てからコンマ何秒のうちに自問自答していましたが、ガレ場から飛び立ったヤマゲラは付近の松の木へ。

 

 

これまで何故か出会うことができなかったヤマゲラ。

やっとお目にかかることができました。

 

野鳥を目的とした旅ではなかっただけに想定外の出会いは嬉しいものです。

 

ヤマゲラが見えなくなって間もなく、耳したのは『キュキュッ』という鳴き声。

ナキウサギを疑いましたが実物を見たことがないだけに何が鳴いているのか分かりません。

 

 

暫く気配を探ってみたものの何かが動く様子は無く登山を再開。

 

笹が生い茂る鬱蒼とした環境を抜けると大きな岩が目立つようになり、足元をしっかり確認しなければ危険と感じるような状態に...

 

 

登り始めて30分が経過した頃には滝のように汗が流れ、防寒対策どころか上着を全部脱ぎ去りたいと思うほど。

 

更には登山途中にも関わらず筋肉痛を感じるようになり、如何に厳しい登山であるかを再認識していました。

 

11時50分、やっとの思いで観察場所となるガレ場へ到着。

 

 

たった1時間10分の登山でしたが普段のトレーニングでは鍛えられない筋肉を動かしたこともあり、私にとっては「過酷」の一言でした。

 

この努力が報われることを信じガレ場を眺めていると...

 

 

岩陰から顔を覗かせるナキウサギを発見。

 

 

観察場所へ到着して間もなくの出来事です。

 

初めて目にした実物は「小っちゃ」と思わず声に出してしまうほど。

想像とは全く異なるサイズ感には驚かされました。

 

 

初めての出会いによる高揚感が落ち着くと欲求と葛藤の鬩ぎ合い。

 

私の位置からは顔しか見えず全身を拝みたいという気持ちが先に立ってしまいます。

しかし居場所を変えてよいものか...

 

警戒させることで居なくなってしまっては元も子もありません。

ナキウサギが動くまで待つべきか悩んでいたところ大胆に動く登山客。

しかしナキウサギは動じる様子もなく岩の上でのんびり。

 

そこで私も右に倣い立ち位置を変えて様々な角度から観察してみることにしました。

 

 

写真からは伝わりませんが、実物はウサギというよりもまるでネズミ。

 

私の握りこぶしくらいの大きさにも感じましたが、対峙する距離によってサイズ感は異なることでしょう。

 

 

調べてみたところナキウサギの体長は15~18cmという記述もありましたが、姿勢によっては更に小さく感じることもあるかもしれません。

 

これといった動きもなく岩の上でのんびりとした様子でしたが、観察を始めて20分ほど経過すると毛繕いを始めました。

 

 

この時は顔をゴシゴシと拭うような仕草も。

 

 

不意にナキウサギはガレ場を駆け上がると岩の隙間を縫うように移動したため目で追うのが精一杯。

 

俊敏に動くナキウサギの撮影は非常に困難。

望遠レンズで追えるものではありません。

 

再びフレームに収めることができた時にはガレ場の頂上へ到達していました。

 

 

立ち止まったのはほんの一瞬。

この後は頂上付近を動き回ることが多く観察も難しい状態になったことから岩の上に腰掛け休憩をしていると...

 

 

『ガサガサ ガサガサ』

 

背後から枯れ葉を掻き分けるような音が聞こえ振り返ってみると1mも離れない場所にナキウサギが接近していました。

 

思わず大きな挙動をしてしまい、これに驚いたナキウサギは『キュキュッ』という鳴き声を上げて退散。

 

「やっちまった」

 

驚かせてしまったことを深く後悔しましたが、登山途中に聞いた正体不明の鳴き声はナキウサギであることが分かりちょっとした収穫です。

 

ガレ場の頂上では依然として先に観察していた個体が見え隠れしており、私の背後に現れたのは別個体と判明しましたが、間もなくして3匹目となるナキウサギを発見。

 

(ウサギの数え方は羽で表しますが、ナキウサギの数え方が分からないため今回の日記では匹で表記)

 

 

こちらの個体もまたよく動き回る個体でしたが、何処からともなく聞こえる鳴き声に反応するような仕草を見せていました。

 

 

その様子を観察していると居合わせた登山客が集まりだし、また別個体が出たようです。

 

私も御相伴に預かりたいと視線の先を見てみると先に観察した個体よりも一回り大きな個体が直ぐ傍に。

 

 

ぬいぐるみを思わせるようなナキウサギはのんびりとした様子でガレ場は撮影会。

 

私も可能な限り角度を変えて撮影を楽しませてもらいました。

 

 

4匹目のこちらの個体は同じ場所に15分ほど留まっていたでしょうか。

 

一旦姿が見えなくなったものの大きく場所を変える様子はなく、再び観察のチャンスに恵まれるかもしれません。

 

その様に考え立ち位置を変えることなく待機していると5匹目を確認。

 

 

ガレ場へ到着してからトントン拍子に見つかりましたが、これが当たり前なのか私には分かりません。

 

5匹目の個体については鳴き声を発する姿を観察。

私の印象としては鳴くというより“吠える”という表現の方が正しいように思いました。

 

 

こちらの写真をX(旧Twitter)に掲載すると、写真を見た石垣島の友人からは『ナキウサギの咆哮が聞こえる』というコメントを頂きました。

 

ぬいぐるみのようにも思える可愛いナキウサギですが、鳴き声を発する姿は獣らしさを感じ咆哮という表現がぴったり。

 

流石は新聞記者。

こうした言葉のチョイスは見習わなければなりません。

 

 

程なくして4匹目の個体が再び姿を見せ、目の前で観察を楽しむことができました。

 

 

ガレ場へ到着してから2時間30分が経過した14時20分、この日の観察はここまでとして下山を開始。

 

まだまだ観察は楽しめそうでしたが、お腹と背中がくっつきそうなほどの空腹感に襲われ喉もカラカラ...

 

 

登りよりも下りの方が足腰に負担が掛かるため慎重に山を降りているとクマゲラの姿が。

しかし足元ばかり見ていたことが仇となり、発見するのが一歩遅れて撮影は叶わず。

 

無事に下山というところで出会えたのはハシブトガラ。

 

 

何の疑いもなく観察していましたが後日撮影した画像を確認したところ、こちらの個体はコガラであることが判明。

 

北海道にはハシブトガラに酷似するコガラも生息するため決めつけるのは危険です。

 

下山後は宿へ直行し、夕食は一番早い時間を指定。

お腹いっぱいになるまで飲み食いを続けました。

 

 

2023年10月15日

 

 

ナキウサギの観察を目的とした旅行はこの日が最終日。

 

我ながらよくも無謀な企画を立てたものだと改めて思いましたが、週末の僅かな時間に目的を達成できたことは幸いでした。

 

 

何よりも運が良かったのはお天気に恵まれたこと。

滞在中は季節外れの暖かさでしたが、一週間後の週末は平地でも積雪が見込まれる強い寒気に包まれる予報が出ていました。

 

 

仮に雪が降っていたら全く違う内容になっていたことでしょう。

 

 

この日は以前ラッコとモモンガの観察を共にした道東在住の知人に案内を頂き、容易にナキウサギを観察できるという秘密の場所へ。

 

登山することなく観察が可能という場所は確率こそ低いものの車を降りて5分という手軽に観察を楽しめる場所でした。

 

 

こちらへ到着して30分ほど経過した頃、一匹目のナキウサギを確認。

 

 

この個体は葉っぱを咥える場面が多く食欲旺盛なのかと思いましたが、知人によると貯食行動とのこと。

 

 

積雪前に沢山の食料を集め厳しい冬を乗り切るそうです。

 

こちらは拡大画像。

 

 

暫くすると姿が見えなくなり、ナキウサギの出待ちをする間は野鳥を観察。

 

前日も目にしていたルリビタキが何度も姿を見せてくれました。

 

 

一度シマエナガが見られたものの、枝が重なる場所を素早く移動していたためピント合わせが間に合わず...

 

シマエナガの撮影に悪戦苦闘していると少し離れた場所にナキウサギが出ていましたが逆光に目が眩み撮影には至りませんでした。

 

更に30分が経過した頃、二匹目の個体を確認。

 

 

しかしこちらも逆光が厳しく思うように観察することができません。

こうした状態を鑑みて、知人より観察場所の変更を奨められましたが私はこれでも充分だと感じていました。

 

知人と談笑をしていると時間はあっという間に過ぎ、時刻を確認すると間もなく11時といった頃。

 

14時には帯広空港を離れなければならず、昼食の時間も考慮してナキウサギの観察はここまでとしました。

 

 

ショートスケジュールのため無謀とも思える企画でしたが、お目当てのナキウサギを存分に観察できただけではなくヤマゲラも見ることができ今回の旅は大成功のうちに幕を閉じました。

 

自宅から数百kmという距離にも関わらず駆け付けてくれた知人には本当に感謝。

 

再会の約束を果たすため北海道へはまた季節を変えて足を運びたいと思います。

 

 

2023年 生き物観察の旅 in 道東(10月)はこれにておしまいです。