メールはこちらから

 

 

X (旧Twitter)はこちらから

2023年 野鳥観察の旅 in ケアンズ (8月) ⑥

 

 

前回の続き。

 

日程4日目は宿泊先のキングフィッシャー・パーク・バードウォッチャーズ・ロッジ周辺から観察を始め、その後は買い出しを兼ねて最寄り町のマウント・モロイへ。

 

この日も多くの出会いに恵まれましたが、なかでも強く印象に残るのは鳥とは思えない風貌のパプアガマグチヨタカ。

 

 

威厳さえ感じるパプアガマグチヨタカは“長老”といった印象を与え、日没前には正面顔を見ることができました。

 

 

2023年8月13日

 

 

日程5日目。

 

観察日としてはこの日が実質最終日。

翌日にはケアンズを離れる為この日は幾つかの探鳥地を経由した後、空港から程近いエスプラネードまで戻らなければいけません。

 

観察は前日と同様にロッジ周辺から始めましたが、連日祟られた朝方の雨もなく快晴の空模様。

 

小鳥たちの囀りも一層賑やかに聞こえ観察を始めて20分くらい経った頃、ロッジ入り口にカミカザリバトの群れが飛来しました。

 

 

初見はキュランダでしたが、その際は通過個体を撮影しただけに留まりじっくりと観察できたのはこの時が初めて。

 

和名通り頭部の飾り羽が特徴的です。

 

 

こちらを観察していると突っ込んでくる勢いで姿を見せたのがカンムリカッコウハヤブサ。

 

日本人バードウォッチャーにとっては『何が何だか』と困惑してしまうこの和名。

 

 

カソワリーハウスで観察したヨコジマカッコウサンショウクイもそうでしたが和名からは何科の鳥であるのか察しがつきません。

 

手持ちの図鑑によるとカンムリカッコウハヤブサはタカ科の鳥になるそうです。

 

これといった動きは見られず、せめて飛び出しの瞬間を撮影できたらと思いカメラを構えていたところ頭上をフエフキトビが通過。

 

 

この通過に気を取られ、カンムリカッコウハヤブサの飛び出しを撮り損ねるという失態を冒してしまいました。

 

気を取り直して小鳥の観察をしていると気になる謎の物体が目の前に...

 

ケアンズを訪れて以降、度々目にしていたこの物体。

 

 

葉っぱを何枚も貼り付けた球状の物体はハンドボールほどの大きさ。

まるで小学生が工作したようなこの物体は鳥の巣であろうと考えましたが、調べてみたところツムギアリの巣であることが分かりました。

 

アリがこの様な巣を造るとは驚きです。

 

ツムギアリの巣を不思議に思い眺めていると種不明の鳥が直ぐそばに。

 

 

後日こちらの鳥はカソワリーハウスで観察したコウロコフウチョウの雌であることが分かりましたが、雄とはあまりにも容姿が異なるため同定にかなりの時間を要しました。

 

 

数々の鳥を観察した後はロッジから南に位置するグラニット・ゴージ自然公園へ。

所要時間は約1時間。

 

長い直線道路を走っていると道路脇に茶色い物体を発見。

何かと思い減速すると野生のカンガルーであることが分かり直ぐ様カメラを構えましたが、凄まじい逃げ足であっという間に視界から消えました。

 

野生個体との遭遇に興奮気味だったものの、この後カンガルーを含め事故死した様々な野生動物の亡骸を目にすることに...

 

 

こうした動物の死体が多いせいなのか道路沿いでは猛禽類を目にする機会が多くなりタカ柱が見られることも。

 

双眼鏡で確認するとを全ての個体がトビと判明しましたが日本で見られるトビより小さくオオタカほどの大きさ。

 

樹木へ止まった場面を撮影し画像を拡大してみると日本の個体とは嘴や足の色が異なり明らかな違いを見て取ることができました。

 

 

手持ちの図鑑によると和名は同じであっても別亜種になるようです。

 

トビの観察を終えて再び移動を始めると樹木に止まるアオバネワライカワセミを発見。

停車して間もなく獲物を見つけたのか急降下。

 

 

残念ながら下草の陰となり捕獲の瞬間を見ることはできませんでしたが、付近の倒木へ止まった際には昆虫を咥える姿が見られました。

 

 

その後見られたのは電線止まりのワライカワセミ。

 

記事には取り上げていませんでしたが、キャターナ・ウェットランズの駐車場で観察して以降それまでの苦労が嘘のように出会えるようになり、観察の機会が多くなるにつれ発見しても素通りしてしまうことも...

 

 

寄り道をしていたせいか予定より大幅に遅れて岩山のグラニット・ゴージ自然公園へ到着。

 

敷地内は地元のキャンパーが多くキャンピングカーがずらり。

面積の広いお国柄からか道中は沢山のキャンピングカーとすれ違っていました。

 

車を降りて直ぐに目にしたのはオーストラリアマルハシ。

 

 

複数の個体が見られ盛んに鳴き交わしていましたが、Babblerと英名にある通り『おしゃべり』な鳥のようです。

 

グラニット・ゴージ自然公園はロックワラビーが見られることで人気の観光地になっているのだとか。

 

15豪ドルの入場料を支払い名簿にサインをすることで岩山エリアへ入ることができ、歩き始めて間もなくロックワラビーがあちこちに。

 

 

野生個体ですが観光客に餌付けされているため逃げることはありません。

餌付け効果により何も持ってない私にも近寄って来る場面があり、これには顔が綻びました。

 

ロックワラビーを見られたまでは良かったのですが、鳥の出は今一つ...

図鑑に記載されるような出会いには恵まれず早々に駐車場へ。

 

駐車場では小規模なライチョウバトの群れを見ることができ、こちらはのんびりと観察することができました。

 

 

その後も想定するような鳥果は得られず、もしかすると時間帯が悪かったのかもしれません。

 

この日は予定が立て込んでいたことから次の探鳥地に予定していたハスティーズ・スワンプ国立公園を目指し足早に移動を開始しました。

 

道すがら見られた大きな蟻塚。

さながらネイチャー系の番組でも見ているような感覚でしたが、これこそ私のイメージするオーストラリア。

 

 

触ってみると岩のように堅くしっかりしています。

 

なかにはカワセミが営巣したような穴の空いた蟻塚も見られ、リュウキュウアカショウビンが営巣するようにこちらの鳥も蟻塚に営巣しているのかもしれません。

 

 

暫く走ると牧場が見え、牛の背中に乗るアマサギを発見。

 

 

こうした場面は私にとって大好物。

面白がって観察をしていると牧場の敷地にはオオヅルとオーストラリアヅルの姿もありました。

 

 

どちらが鳴いていたのかは分かりませんが太さと甲高さを感じる鳴き声はタンチョウに似ており、他に特筆すべき点は見られないかと注視していたところツルの鳴き声とは別に猛禽類の鳴き声が...

 

辺りを見渡すと電柱に止まるオーストラリアチョウゲンボウを発見。

 

 

パッと見た目に淡色であることが最大の特徴です。

 

更にはカササギフエカラスの姿もありました。

 

 

渡航して以降カラス科の鳥を何種か観察できましたが、日本のように“群れ”という場面を見ることはなく単独の場面がほとんどだったように思います。

 

出会いの多かった牧場を離れ目的地のハスティーズ・スワンプ国立公園へ到着すると予想もしなかった光景が。

 

水辺で見られたのは数えきれないほどのカササギガンの群れ。

 

 

こちらは公園の敷地内へ入り直ぐに撮影した画像になりますが、敷地の奥へ進むと観察小屋があると分かり逸る気持ちを抑えて移動すると...

 

遥か前方に謎の鳥を発見。

 

 

雌のキジを思わせるこちらの鳥、調べてみたところカッコウ科のキジバンケンであることが分かりました。

 

直ぐに飛去してしまい証拠写真を撮っただけに留まりましたが、もしかすると運の良い出会いだったのかもしれません。

 

公園の敷地内ではオーストラリアセイケイが至るところで見られ目の前を横切る場面も。

 

 

ほどなくして観察小屋へ到着。

 

 

二階建ての建物からは海外バードウォッチャーの話し声が聞こえ何やら盛り上がっている様子。

 

二階へ進むと意外にも誰もおらず腰を据えて観察することに。

 


 

ひっきりなしに飛び交うカササギガンを眺めつつ建物の直ぐ下で休むカモ類を観察。

 

【 カザリリュウキュウガモ 】

【 オオリュウキュウガモ 】


 

両者とも和名にリュウキュウと名が付くことから沖縄に由来する理由は何処にあるのかと手当たり次第に調べてみたものの、それらしき文献は見当たらず...

リュウキュウ=琉球ではないのでしょうか。

 

またこちらではノドグロカイツブリも見られました。

 

 

行動としては日本で見られるカイツブリと全く変わりません。

 

水辺で見られる鳥の他、看板に描かれる猛禽類も観察できたらと暫く待ってみましたが一向に飛来せず。

 

 

ここで時刻を確認すると14時を過ぎておりハスティーズ・スワンプ国立公園を離れなければなりませんでした。

この日はレンタカーの返却があったりと、諸々の所要時間を考慮してこちらでの観察はここまで。

 

移動を始めて間もなく、農場には大規模なツルの群れが。

 

 

この付近は特にツルが多く四桁の数になっていたと思います。

 

延々と続く峠道を進み、約2時間のドライブを経てようやくケアンズ市内へ。

 

レンタカーを返却する前にはガソリンを満タンに。

これを怠ってしまうと200豪ドルのデポジット(保証金)を徴収されてしまいます。

 

 

渡航前に予習したお陰で給油はスムーズでした。

 

給油はセルフで行い、始めに油種を選択。

オーストラリアではガソリンをペトロールと呼びペトロでも通じます。

 

ペトロは91・95・98と3種類あり数値が上がるにつれオクタン価も上がります。

91は日本でいうところのレギュラー、98はハイオクと考えてよいでしょう。

 

 

給油が終わった後は建物の中へ。

ほとんどのペトロステーションは雑貨が置いてありコンビニのような感覚。

 

私は5番の給油機を使用していたので店員に「Pump Five」と伝えるだけで会計に進みました。

 

事故も無く無事にレンタカーを返却できホッと一安心。

 

空港からエスプラネードまでタクシーで移動しましたが料金は23豪ドルだったと記憶しています。

 

 

前情報にあった料金より高くぼったくられたと思いましたが、これも世界的な物価高の影響でしょうか。

 

こちらは懐かしいようにも感じたエスプラネード。

 

 

ほんの数日前に訪れただけのこの場所にこうした感情を持ったのは言い知れぬ緊張感があったのかもしれません。

 

干潟で羽を休めるコシグロペリカンはこの日も観光客のアイドルでした。

 

 

最後のディナーは生ガキにステーキと盛り沢山。

 


 

今回の旅を振り返り印象に残った種の話になると、私が迷うことなく挙げたのはヤブツカツクリ。

 

これにはキョトンとした顔を見せた友人でしたが、私にとって仲睦まじく穴を掘る様子は忘れることができません。

 

涼しいと感じる夜はこの日が最後。

日本へ戻ると猛暑が待っています。

 

暑さを考えると一気に現実へ引き戻されてしまいましたが、食事と会話を楽しみケアンズ最後の夜を締め括りました。

 

 

2023年8月14日

 

 

人生初の海外探鳥旅行はこの日が最終日。

 

午前中にはケアンズを離れるため足早に空港へ移動しなければなりませんでしたが散歩がてらちょっとだけ観察を行いました。

 

 

宿泊先周辺で約30分という僅かな時間、観察できた鳥は15種ほど。

流石ケアンズといったところでしょうか。

 

 

タクシーが宿泊先へ到着したところで早朝の観察を終了しケアンズ国際空港へ。

 

 

チェックインを済ませターミナル2Fへ進むといよいよこの旅も終わりが迫っていることを実感しました。

 

 

ケアンズを訪れて6日間、本当にあっと言う間でした。

 

実質5日間の探鳥で観察できた鳥は115種。

もしバードソンのように確認種をカウントするスタイルであれば更に数は伸びていたことでしょう。

 

 

友人との押し問答から始まり、悩みに悩んだ末に決断した今回のケアンズ探鳥旅行。

自分にとって海外での観察は時期尚早だと思っていましたが、いざ現地へ着くと夢中になって観察している自分が居ました。

 

ネット接続不可、駐車違反とトラブルもありましたが今となっては全てが良い思い出です。

 

 

鳥が多く観察をするには最良の環境だと感じる日々でしたが、唯一心残りなのは出会うことができなかったヒクイドリ。

こちらは今後の楽しみにとっておきたいと思います。

 

 

定刻に離陸した飛行機から見えたのは離れつつあるケアンズ国際空港とエスプラネード。

 

 

間もなく眼下に見えるグレートバリアリーフを眺めてケアンズでの探鳥旅行は終わりを迎えました。

 

あまりにも記事が長くなり思い出の大半は割愛してしまいましたが2023年 野鳥観察の旅 in ケアンズはこれにておしまいです。