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2018年5月3・4・5日




大型連休後半は近畿からお越しのお客様を迎えてバードウォッチングガイドを行いました。

今回ガイドするのは秋田県での野鳥観察は初めてという4名のお客様。
当初の予定では冬季にハクガンの観察を希望され予約を頂いておりましたが、予約当日の天候が大荒れの予報で已む無く断念。

今回改めて予約頂き秋田にお越しになりましたが、またしても天候は荒れ模様の予報でお迎えする身としても非常に気を揉まされました。

悪天候でも良い思い出ができるよう最善のルート・場所の選定をして一緒に野鳥観察を楽しみましたが、今回は色々観察したなかで特に思い出に残った1種に絞り日記を綴りたいと思います。


ガイド初日は予報通りの雨に加えて風も強く吹く生憎の空模様。
厳しい条件での観察が続きましたが、時間はあっという間に過ぎこの日の観察はそろそろ終盤といった時刻。

帰路につこうか迷った時、お客様から『シギチの様子をもう一度見てみたい』という提案があり、この日朝一番で訪れた海岸に再び足を運んでみることにしました。

海岸を見てみると朝には確認できなかったシギチの群れが入っていて、確認してみるとアカエリヒレアシシギであることが判明。

 

 

お客様が観察・撮影しやすいよう車を移動します。

ピント合わせが出来ないほど近寄ってくるアカエリヒレアシシギ。
車の目の前を歩いて移動する個体を見て『フェリーから見たことはあったけど、こんなに近くで見れたのは初めて』と大変喜んで頂けました。


アカエリヒレアシシギを観察してこの日は終了。
そして迎えた翌日、予報に反し天候が回復したので朝一番で再び海岸に行ってみるとアカエリヒレアシシギは未だ滞在中でした。

前日より条件が良く観察・撮影ができるということで車を降りて私もお客様と一緒に観察開始

 

 

旅鳥として見られるアカエリヒレアシシギは沖合いを通過する個体が多いようですが、天気が荒れると沿岸だけではなく時として淡水域にも姿を現します

この日は天候こそ回復したものの前日同様に波のうねりが大きく白波の立った状態が続いていたので滞在が長引いたのかもしれません

 

 

海岸ではこれ以上ないというところまで観察できたのでここから場所を移動。

次に足を運んだ港で衝撃の光景を目にしました。
港は多くの釣り人で賑い、とても野鳥観察といった雰囲気ではありませんでしたが釣糸を垂らした先で小さな鳥があちこちでプカプカ浮いている・・・

 


「アカエリヒレアシシギ!」

思わず車内で大きな声を上げてしまった私、それほど衝撃的なシーンでした。

 

 

こちらにも無数のアカエリヒレアシシギが入っており、何と釣り人が撒く餌に集まっていたのです。

釣り人に何を撒いているのか尋ねてみると『オキアミ』とのこと。
なるほど、甲殻類を餌とするシギにとっては良い餌場といったところでしょうか。

 

 

荒れた海から波の穏やかな港に避難してみたら餌が取り放題。

アカエリヒレアシシギにとってもバードウォッチャーにとっても珍事とも言えるこの嬉しい場面、撮影枚数がとんでもないことになっていました。

 

 

釣り人は見たこともないような鳥が餌に群がるので、面白がって餌を撒いてるようです。

また途中からは私たちカメラマンにサービスしてくれたのか、足元にも餌を撒くことがありアカエリヒレアシシギが目の前に。

 

 

ヒレアシシギ類は他のシギ類よりも密な羽毛を持つことから軽々と水面に浮くことができ、その名の通り足がヒレ状になっていることから海上での生活に適した体の造りになっています。

時々水面でクルクルと回っている姿を目にしますが、こちらは渦巻きを起こすことで水生昆虫や甲殻類を食べる為の行動

 

そのような水面でプカプカする様子は動画で撮影を行いました。

 

 

近距離で見れるからこそ広角レンズで撮影したり、望遠レンズで撮影してみたり・・・

慌ただしく撮影をしていると冬羽の残った個体がエビのようなものを食べていることに気が付きました。

 

 

 

拡大画像。

 

 

これも釣り人が撒いたものなのか天然モノなのかは不明。

近くの港湾では高速で飛び交う群れの姿も見ることができ、お客様には大変喜んで頂くことができました。

 

 

最終日の今日は飛行機の出発時間を逆算し、最後の最後は高速道路を利用しなければならない程ギリギリまでの観察。

ガイドする身でありながら私も一緒に楽しく観察することができ、充実した時間を過ごすことができました。

空港へお見送りした際にみんなで撮った記念写真、また遊びに来たいというお言葉、どれをとっても有難く良い思い出です。
また秋田にお越し下さいませ。


大型連休後半のバードウォッチングガイド&観察記はこれにておしまいです。