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2020年5月6日 19/8℃ 晴れのち曇り




大型連休最終日。

連休中は各所で観察を行ってきましたが、前日までの観察を振り返ってみると情報を頂いての観察が多く、楽しいながらも何処か不満の残る内容でした。

その為この日は自力で何か見つけたいと考え朝一番で男鹿半島へ向かいましたが、道路脇で目にするホオジロが少ない・・・

男鹿半島で珍鳥探しをする際に道路脇で採餌をするホオジロを見かけますが、このホオジロの数が多ければ多いほど他の鳥類も多い傾向にあり、探鳥を行う上で一つの指標となっています。

 


ホオジロが少ないという不安材料とは裏腹に、朝一番で見つけることができたのは亜種シベリアアオジ。

 

 

今季はシベリアアオジを目にする機会が多く、この個体は3個体目の確認。

以前に目にしていた2個体はいずれも交通量の多い道路沿いでの確認で、観察が難しい状態でしたが今回は開けた環境での発見で観察をするにあたって特に支障となるものはありませんでした。

 

 

シベリアアオジは春と秋の渡りの時期に見られる旅鳥。

体長は16cmでアオジと同大ですが見た目は全くと云っていいほど異なり、特に今回観察できた成鳥雄は別種に見えるほどインパクトがあります。

特徴として頭部から胸にかけては暗灰色、体下面は淡黄色であることから真っ正面から見た場合クロジのように見えることもあるかもしれません。

 

 

参考までにアオジの写真を掲載。
頭部は緑がかった暗灰色、喉から体下面は黄色で全体の印象としては黄緑色。

 

 

アオジという和名を連想させるような青色の羽は見受けられませんが、これは日本古来からある緑色に見える物を「青」と呼ぶ習慣からでしょう。

余談ですが青い鳥には古語で「ルリ」の名が付けられており、今時期によく目にするオオルリがその一つ。


シベリアアオジに話を戻しますが、今回観察できた環境は開けた草地ということもあり、餌は採り放題で草の種子を啄む様子をじっくりと見ることができました。

 

 

時間を掛けて観察した割にこれといって特別変わった様子もなく、見ることができたのは採餌の姿のみ。

強いて言えば何かを気にした時に見られる背筋を伸ばすような格好だけでした。

 

 

暫く観察を続けましたが、この日は他に目的があったことからシベリアアオジの観察はここまで。


秋田県内において春と秋の渡りの時期で報告にあがる珍鳥と言えばホオジロ科とヒバリ科の鳥が高い割合を占めます。
この理由は探鳥地となる男鹿半島の面積の広さが影響し、車での移動を余儀なくされることと車内からの観察が多い秋田県特有の事情が関係していると考えました。

そのため今までと違った種を観察をするには探鳥を行う環境を変える必要があり、今回は以前から目星を付けていた場所へ・・・


意気揚々と移動してみたものの鳥の鳴き声はほとんど聞こえず。
前日の男鹿半島は小鳥の鳴き声で賑やかでしたが、夜の間にごっそりと渡ってしまったようです。
後から知った情報ですが、前日に観察を行ったコホオアカもヒメコウテンシも同じタイミングで抜けてしまったとのことでした。


当てが外れてしまい途方に暮れましたが、ここで問題となるこがこの後の時間の使い方。
悩んだ末に思い浮かんだのが連休2日目、観察まで漕ぎ着けることができなかったアリスイの存在。

連休最終日はアリスイの観察に費やすことに決め、善は急げと場所を移動。
移動して間もなく道路を横切るようにしてノスリが飛んでいきましたが何かを持っていたような。

道路沿いの木に止まってくれたので確認してみたところ・・・

 


「チュー!!!」

 

 

いつもであれば画像を拡大するところですが、今回に限っては自粛します。

一部始終を目撃し複雑な気持ちのままアリスイ探し。
先ず始めに鳴き声を確認できたのは前回と全く同じ場所で雄が盛んに鳴き声を発していました。

前回は見つけだすのに苦労し肉眼で確認できたのは僅か数秒。
ピント合わせが間に合わず撮影には至りませんでしたが、今回は早い段階で姿を確認。

 

 

横枝に止まっていますがアリスイはキツツキの仲間。

他のキツツキ類は木の幹に縦に止まりますが、アリスイだけは横枝に止まることが多く巣穴も自分で掘りません。

 

 

地面にもよく降りアリを好んで食べますが、長い舌を伸ばして地面や樹皮の裂け目からアリを舐め取ることからアリスイという名前が付けられたようです。

こちらの個体は未だペアとなる雌が見つからないようで、お嫁さん募集中を必死にアピールしていました。

 

 

アピールする声はよく聞こえてくるものの観察の難しい場所に止まることが多く、この個体に時間を費やすよりも他の個体を探した方が良いと判断し別の個体を探してみることに。

 


普段は鳴き声を頼りに捜索を行いますが、運が良ければ目立ったところに止まっていることもあり、こんな場面に出会すと近距離で見れることが多いように思います。


掲載する画像は生息環境を取り込むため敢えて引きの状態で。

 

 

この個体の動向を注視していると離れた場所に移動したところで盛んに鳴き声を発し始めました。
その際、少し離れた場所からも鳴き声が聞こえ既にペアが形成されているようです。

鳴き交わす様子を録音しようとスマホで動画撮影を行いましたが、雌の鳴き声が低く残念ながら雄の鳴き声のみになってしまいました

 

 

こちらの個体が木の幹に止まってくれたところを撮影しましたが、残念ながら思ったような構図で撮影することができず。

いつまで経っても瞬時に判断することが出来ません。

 

 

次に掲載するのは低い声で鳴き交わしていた雌の画像。

鳴き声の声質で雌雄の判断をしましたが、鳴かなければ見分けがつきません。

 

 

今回の観察では苦戦しながらも単独の個体と2ペアの計5羽を見ることができました。

ヤマシギのように複雑な模様をした羽が擬態効果を生み見つけることは容易ではありませんが、個体数が減少しているなかで今回このようにして観察できたことは運が良かったかもしれません。

 

 

まだ巣穴に入る様子は見られなかったものの、個体数が維持できるよう繁殖が上手くいくことを願っています。

 


今年の大型連休は旅先で観察を行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染症が拡大した影響で早朝から日没まで地元を駆け巡った連休でした。
振り返ってみると旅先で観察を行うよりハードな日の連続だったように思います。

日を追う毎に感染者の確認数は少なくなっているようですが、まだまだ気を緩めることはできません。
一日も早く曾ての日常を取り戻せるよう、私は今暫く地元での観察に集中したいと思います。


大型連休の観察記はこれにておしまい。